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会社と社員のベクトルが同じ方向を向いている
その擦り合わせが大きな力を生んでいる

篠原 庄太

一風堂西通りスタンド

高校時代、バイトでハーレーを買う

篠原庄太は高校時代からケンタッキーでアルバイトを始めた。大学進学の学費を貯めることと大好きなバイクを買うことが目的だった。3年間働いて18歳のとき300万円の中古のハーレーを購入した。ハーレーらしさが漂うザ・アメリカン、1,350ccのバイクだった。
久留米工業大学に進学したが1年生のときに父が他界、大学を中退してカサドールというアパレル系の会社に就職した。同社は『LOVE BOAT』『INGNI』などのブランドの福岡地区代理権を取得して販売していた。
そのカサドールが飲食分野に進出することとなり、篠原がその責任者に選ばれたのであった。
最初の仕事は焼肉店の立ち上げだった。焼肉店は2店舗目の開店から軌道に乗った。その後テイクアウトのドーナツ店のオープン、ピザがメインのレストランバー『カサドールキッチン』の展開など、一時は飲食・食物販合わせて20店舗の事業部に育て上げた。
しかし本業のアパレル部門の停滞とともに事業規模の縮小が決まり、篠原は16年務めた同社を退職することとなる。
そんな折、東京の人材紹介会社から力の源の求人情報を得る。
「地元で飲食店を営んでいましたから、河原会長と一風堂のことは良く知っていました。河原会長はTVにもよく出演されていて、とても個性的でパワフルな印象でした。仕事柄食べ歩きにもよく出かけていまして、一風堂の凛とした空気感にはいつも感心させられました。特に接客に対する姿勢は抜きん出ていました。スタッフさんの立居振舞は素晴らしいと感心していました。そんな経験がありましたから迷うことなく力の源への転職を希望しました」。
そして2016年12月力の源への入社が決まる。

50訓に大切なことが集約されている

入社して感じたことについて篠原は次のように語る。
「会社と社員のベクトルが同じ方向を向いていると感じました。その擦り合わせができているから大きな力になっていることが分かりました。バイブルともいえる心得帖50訓には、飲食業で大切なことが全て示されています。自分の過去を振り返って改めて気づかされることがたくさんありました。特に第1訓の“すべては一人のお客様と一杯のラーメンから始まる”の教えに全てが集約されていると思いました」。

商品とサービスを合わせた顧客満足を追求する

入社すると篠原は『0ヶ月研修』『SOP研修』を受講する。
「忙しい中でもスタッフさんの教育が徹底していました。とても練り上げられた研修で50訓の教えが現場とリンクしていました。衛生管理やオペレーションなど現場に入らなくてもよく理解できました。さらに、この研修を受けないと現場には入れないところなど、企業の基本がしっかりしていると感じました。前職では、とりあえず現場に入れることから始めていましたから」。
篠原は飲食業の経験を積んでいる。自分が出来なかったことも含めて客観的に現場を判断している。一蘭を転職先として希望しなかったか聞いてみた。
「一蘭は商品のクオリティは良いと思います。反面サービスの面では高いものを求めていないようです。機械的な感じがします。それは企業の方針でしょう。
私は接客が好きで、商品とサービスを合わせたお客様満足を求めていましたので、一風堂の在り方に共鳴しました」。

『IPPUDO STAND』をスタンダードに、そして海外へ

これからの抱負について尋ねてみた。
「1年で社員がやるべきことをすべてマスターします。店長のポストに就きましたら、会社との信頼関係を築きながら“凛とした空気”を自分で作れるように取り組みます。チームリーダーを経て、海外の店舗開発に携われるようになることが当面の目標です」。
篠原は質問に対して的確に答えてくれる。16年間のキャリアにも頷ける。ふと手元を見ると、バインダーに1枚のシートが挟んであった。『現場百景インタビュー』というタイトルで始まっていた。メールで送った質問に対する回答が記されていたのである。その姿勢には感心した。
篠原は自分の強みは「始めたらちゃんと成果を出すまであきらめないこと」だという。数字は得意で、これまで予測を立てて行動し結果につなげてきたそうだ。今後は接客が好きという自分の特長を生かしながら、自分でやって見せてスタッフを育て、一風堂のファンを増やしてゆきたいという。
「力の源の凄いところはやる気の高さです。体力もあります。これからさらに分母(お客様、売上げ)が大きくなると、すべてのお客様に満足していただくことはとても難しくなります。いろんなお客様がいらっしゃいますし、お客様の判断基準も高くなりますから。逆にそれこそがスタッフの成長の機会でもあります。常連のお客様を増やしながらお店の成長、会社の成長につなげてゆきたいですね」。

力の源では海外出店を加速する方針である。篠原は、海外を見つめつつ、『IPPUDO STAND』を、新たなスタンダードにすべく闘志を燃やしている。 「一風堂のポテンシャルはとても大きいですね。海外はまだ始まったばかりです。私自信も大きな手応えを感じています。いい会社に就職できて家族ともども喜んでいます」。力強い言葉が返ってきた。